みなさま、こんにちは。
今回は、おすすめ異世界アニメ「十二国記」の第3弾。第22話「書簡」、第23話~第39話「風の万里 黎明の空」をご紹介します。
立場の違う3人の少女が、それぞれの想いを胸にめぐりあい、その思いはいつしか新たな国の基礎になっていきます。
「良い国とは何なのか」その答えを見つけるための物語。
「十二国記」アニメ基本情報
イラスト:山田章博
出版社:講談社、新潮社
刊行期間:1991年9月~継続中
ジャンル:ハイ・ファンタジー
アニメーション制作:ぴえろ
監督:小林常夫
キャラクターデザイン:田中比呂人、楠本祐子
オープニングテーマ「十二幻夢曲」作曲・編曲 – 梁邦彦
エンディングテーマ「月迷風影」/歌:有坂美香
アニメ放送期間、話数:2002年4月~2003年8月、全45話
(「書簡」(第22話)、「風の万里 黎明の空」1章~終章 (第23話~第39話)2002年10月~2003年3月 )
「十二国記シリーズ」でアニメ化されたタイトル
現在でも刊行中である「十二国シリーズ」ですが、その中でアニメ化されているのは、短編を含む次の6タイトルです。
「風の海 迷宮の岸」(登場国:黄海(蓬山)、戴)
「書簡(短編集「華胥の幽夢」より)」(登場国:慶、雁)
「風の万里 黎明の空」(登場国:芳、才、恭、柳、雁、慶)
「乗月(短編集「華胥の幽夢」より)」(登場国:芳、恭、慶)
「東の海神 西の滄海」(登場国:雁)
※TV版の放送順、刊行順では「東の海神 西の滄海」」は「風の万里 黎明の空」の前に刊行されている。「書簡」「乗月」(短編集「華胥の幽夢」)は「風の万里 黎明の空」以降の刊行。
第22話「書簡」
「書簡」は、原作小説の短編集「華胥の幽夢(かしょのゆめ)」に収録されている一篇をアニメ化したもので、「風の万里 黎明の空」へ続く、オリジナル要素も入っています。
「書簡」あらすじ
お互いの近況を報告しあう陽子と楽俊。相手には「上手くいっている。」と報告するのですが、やはり色々とあるわけで。そんな嘘に気付きながら、お互いを励ましあっているふたりは本当の「親友」です。
そして続く「風の万里 黎明の空」は、景王・陽子、海客の大木鈴(おおきすず)、元芳国公主の祥瓊(しょうけい)の3人がメインのお話です。
「風の万里 黎明の空」あらすじ
明治時代の日本。貧しい農村に生まれた大木鈴(おおき すず)は、都会へ女中奉公に出されることになるが、その道中、誤って川に落ちてしまい、気づけば虚海に浮かんでいた。数年後、才国の飛仙・梨耀(りよう)に懇願し、下女として働くことになった鈴だったが、梨耀からの激しい仕打ちに耐えながら過ごしていた。
自分と同じ海客で、同じ年ごろの娘である景王の存在を知った鈴は、可哀想な自分を救って欲しいと願うようになる。
芳国の公主・祥瓊(しょうけい)は30年もの間、王宮で何不自由ない生活を送っていたが、謀反によってその地位を奪われる。そして、貧しい暮らしへと追いやられ、屈辱的な日々を送っていた。公主だったころの自分を忘れられない祥瓊は、自分と同じ年頃の娘が、景王になったという噂を聞き、妬むようになる。
陽子が景王になって1年。世界の理や、国の内情が分からぬ自分に苛立ち、そして官吏たちの顔色を伺う自分の姿に苦悩を感じていた。そんな中、官吏による謀反が発覚する。命を狙われた陽子だったが、何故自分の命が狙われるのか分からなかった。
そして、国の内情を知るため、陽子は一時王宮を離れ、市井に紛れて生活しようと考える。
それぞれの想いを胸に、3人の少女は慶国でめぐりあう。
「風の万里 黎明の空」登場人物
景王陽子 / 中嶋陽子( けいおうようこ / なかじまようこ )
・慣れない世界と政治、官吏との関係に思い悩む。
・市井に下り、世界のことを勉強しながら、国の内情を知ろうとする。
・声優:久川綾さん
景麒(けいき)
・口数が少なく、真面目な性格。
・思い悩む陽子のことを心配するが、中々態度に表せない。
・声優:子安武人さん
大木鈴(おおき すず)
・飛仙の梨耀に懇願し仙籍に入るが、激しい仕打ちを受け続ける。
・海客として過ごすうちに「自分が一番不幸」だと思い始める。
・声優:若林直美さん
祥瓊(しょうけい)
・公主としての責任を知らず、贅沢な暮らしをしていた。
・仙籍を剥奪され、流民の子となるが、公主だった頃の自分が忘れられない。
・声優:桑島法子さん
浅野郁也(あさの いくや)
・行方不明となっていたが、慶国で鈴と出会い、景王に会いに行く。
・不可解な十二国の世界観について行けず、情緒不安定になっている。
・声優:上田祐司(現:うえだゆうじ)さん
清秀(せいしゅう)
・母は病気で、父は妖魔に襲われて亡くす。
・鈴の「自分が一番不幸」という考えに、反発する。
・声優:平松晶子さん
楽俊(らくしゅん)
・奨学金を受けながら、雁国の大学に通っている。
・柳国への旅の途中で、祥瓊と出会う。
・声優:鈴村健一さん
「十二国記」の世界観
「風の万里 黎明の空」の物語の舞台となる国を、少しだけ簡単にご紹介をします。
十二国の正式名称
四大国:慶東国・奏南国・範西国・柳北国
四州国:雁州国・巧州国・才州国・恭州国
四極国:戴極国・舜極国・漣極国・芳極国
各国の平時の人口は300万人。各国の王宮同士は、自国にとって必要と思う付き合いしかしておらず、公的な国際組織などはありません。
「風の万里 黎明の空」に登場する国は赤字の6か国です。
慶東国(けいとうこく)
略称は慶、または慶国、国氏は「景」。八か国のひとつで東に位置する。首都は堯天(ぎょうてん)、王宮は金波宮(きんぱきゅう)。資源的には恵まれていない国。大陸の東にあるため海客が多い。
現在の景王は赤子(せきし)蓬莱名:中嶋陽子(なかじまようこ)、麒麟は景麒。数代前の景王・達王(たつおう)は300年もの治世を築いたが、その後は短命な王が続いた。陽子が践祚する前は、3代続いて無能な女王が即位したため、「慶は女王に恵まれない」と言われている。官吏の腐敗が進み、国内体制は悪化の一途をたどっている。
雁州国(えんしゅうこく)
略称は雁、または雁国、国氏は「延」。四州国のひとつで、北東に位置する。首都は関弓(かんきゅう)、王宮は玄英宮(げんえいきゅう)。主な産業は農業、商業。船舶や建造物の建造技術が高い。資源的には恵まれておらず、北に位置するため、冬は寒さが厳しい。
現在の延王は尚隆(しょうりゅう)蓬莱名:小松三郎尚隆(こまつさぶろうなおたか)麒麟は延麒で蓬莱名:六太(ろくた)。主従ともに胎果の生まれ。治世は500年におよび、北方で一番豊かな国。
芳極国(ほうきょくこく)
略称は芳、または芳国、国氏は「峯」。虚海に浮かぶ島国のひとつ。首都は蒲蘇(ほそ)、王宮は鷹隼宮(ようしゅんきゅう)。北西に位置し、冬は豪雪になることが多い。産物は特になく、林業と牧畜が主要産業。
峯王・健仲韃(けんちゅうたつ)による30年あまりの治世が続いたが、苛烈な法律を敷いたため、治世時に処刑された民は60万にもなった。恵州候・月渓(げっけい)が中心となり、全州候が蜂起。王、王后、麒麟が殺害された。
才州国(さいしゅうこく)
略称は才、または才国、国氏は「采」。四州国のひとつで、南西に位置する。首都は揖寧(ゆうねい)、王宮は長閑宮(ちょうかんきゅう)。
治世12年ほどの采王・黄姑(こうこ)が治める。麒麟は采麟・ 揺籃(ようらん)。
鈴の主である梨耀は、先々代の采王・扶王(ふおう)の愛妾であり、王をよく助け、大きな功績を残した人物だったが、扶王に疎まれ後宮から追い出されている。
恭州国(きょうしゅうこく)
略称は恭、または恭国、国氏は「供」。四州国のひとつで、北西に位置する。首都は連檣(れんしょう)、王宮は霜楓宮(そうふうきゅう)。主な産業は林業。
治世90年に及ぶ供王・珠晶(しゅしょう)が治める。麒麟は供麒。珠晶は12歳で昇山し、天意をはかった。歴史上最年少の王。
柳北国(りゅうほくこく)
略称は柳、または柳国、国氏は「劉」。八か国のひとつで北に位置する。首都は芝草(しそう)、王宮は芬華宮(ふんかきゅう)。有名な法治国家。主な産業は林業と石材で、鉱山や玉泉がある。風雪や妖魔を避けるために、石材を利用した地下室を持つ家が多い。
治世120年に及ぶ劉王・助露峰(じょろほう)が治める。麒麟は劉麒。天候不良や妖魔の出没など、荒廃の兆しが現れている。
「風の万里 黎明の空」の見どころ、魅力
立場の違う3人の少女の物語、「風の万里 黎明の空」の見どころ、魅力をご紹介します。
物語の展開
「風の万里 黎明の空」の物語の構成は、前半8話、転章1話、後半8話となっています。
前半では鈴、祥瓊の過去と現在の状況、陽子に会いに行くことになるいきさつ。そして、陽子の苦悩と市井に下りる決意が語られ、後半はそんな3人の少女が出会い、ひとつの目的の為に行動をともにします。
(前半のお話の冒頭では、3人それぞれ(陽子は鈴、鈴は祥瓊、祥瓊は陽子)の近況を語ります。)
その結果、景王である陽子には「自分が作りたい国」がおぼろげながらも、見えて来ることになります。
出会いによる変化
物語の中盤に、鈴は清秀と、祥瓊は楽俊と出会います。その出会いと別れは、鈴と祥瓊が今までの自分を見つめ直すきっかけとなり、景王・陽子への想いが変化して行きます。
景王・陽子の初勅
国事に悩んでいた陽子は、鈴、祥瓊らとの出会いと語らい、そして浅野との再会と別れによって、「良い国とはどういう国か」、「どういう国を作りたいか」という疑問の答えを導き出すことになります。それが、最後に発せられる初勅に表われます。
(初勅:新王が初めて発布する勅令、王がこれからどういった国作りをするか端的に示すもの)
「風の万里 黎明の空」まとめ
今回の「風の万里 黎明の空」は、アニメ化された中でも一番話数が多いです。そして、管理人が一番好きなエピソードでもあります。
「月の影 影の海」で景王となった陽子が、国情と官吏に悩みながら「良い国」を考えるというのが、話の根底にあると思います。そんな陽子が出会う鈴と祥瓊。しかしこの二人、序盤は酷いですね・・・祥瓊は、世間知らずというのがあるのですが、鈴が・・・。
清秀との会話で「鈴、あんた・・・」って何度思ったことか。「自分のことを思って泣くのは、ガキの涙だよ。」という清秀の言葉は、少年ながら色んなことを経験してきたからのセリフではないでしょうか。最後は悲しい結末になってしまいましたが、彼のおかげで鈴は独りよがりの考え方から脱却できました。
世間知らずで「自分は悪くない。」の一点張りだった祥瓊もまた、あの半獣に救われます。そう、救世主「楽俊」です(笑)楽俊に正論を言われ、何も言えない祥瓊ですが、楽俊と行動をともにしてから、自分の考えが間違っていることに、薄々は気付いていたのかも知れません。そこが鈴との違いかな?もとは素直で頭のいい祥瓊は、見事に昔の自分から抜け出すことが出来ました。今回も楽俊がいい仕事してます。
陽子もまた苦悩の日々。六太の「陽子も景麒も真面目だからなぁ。」というセリフが思い出されました。(延主従は型破り過ぎなんですが。)
陽子のことを心配しているのに、相変わらずの仏頂面で言葉たらず、その割に不満はため息に表われる景麒。「初勅でため息を禁じようか。」との陽子の言葉が笑えました。
市井に下り、国情を知り最終的には信じられる友、側近、そして国作りのヒントを得た陽子。これからも延王のように側近の目を盗んでは、市井に下りるようになるかも。
そして、行方不明にとなっていた浅野くんが再登場。精神が不安定になり、十二国の世界をゲームの世界と思うことで、どうにか自分を保っている感じでした。
なんやかんや、浅野が一番不憫かも。異世界に無理やり連れてこられるわ。訳のわからない世界にひとり放り出されるわ。恋人と思っていた杉本はさっさと日本に帰ってしまうわで、そして挙句の果てには・・・。でも、最後の最後でほんとうに自分がしたいことが分かり行動できたことで、やっとこの世界で生きられたのかなぁと思いました。
今回は陽子のかっこいいシーンがいくつもありました。まずは禁軍を叱責するシーン。景麒の背にまたがり、上空からの叱責シーンは正に「王」。陽子役の久川綾さんの凛とした声がぴりっとしていて、素敵です。
そして、最後の「初勅」シーン。平時での伏礼を廃するという事に異議を唱える景麒と、動揺する官吏たちに対し、
と陽子は言います。
このセリフで思い浮かんだのが、祥瓊が楽俊との別れ際に自然と頭を下げるシーンです。まさにそういうことなんですよね。 そして陽子は「伏礼を廃す」という初勅をもって、国作りの方向性を決めました。
名君目指して頑張れ!陽子!と思った管理人。そして祥瓊がよく口ずさむ歌「偲芳歌」が頭から離れず、カラオケで見つけた瞬間、嬉々として歌った管理人なのでした。
以上。「十二国記」書簡、風の万里 黎明の空のご紹介でした。ではでは。
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